糖尿病内分泌科 診療の紹介
代謝疾患と内分泌疾患の包括的理解と新たな治療提案
内分泌・代謝部門では、糖尿病、脂質異常症、肥満症に代表されるエネルギー代謝疾患と、バセドウ病、クッシング症候群に代表される内分泌疾患を包括的に診療しています。
Clinical Fields
診療について
糖尿病の診療には、合併症の評価と適切な治療選択が重要です。はじめて血糖値が高いことを指摘された方は無症状であることが多いですが、血管病などを合併している場合には、年単位の罹病歴があったことが予想されます。そこで当部門では、自部門で眼底検査まで行い、迅速な治療介入を実現しています。また、糖尿病の治療薬として多くの薬剤が上市されていますが、摂取する糖質量とインスリン作用を正しく理解したうえで、生活の中で実行可能で安全な血糖マネジメントを患者さんに提案しています。精緻なインスリン補充が必要な場合には、インスリンポンプ療法も積極的に導入しています。さらに、食事によって腸管から分泌される腸管ホルモンの作用を応用した治療薬も活用しています。そのうえで、年齢や普段の生活での活動量を踏まえ、筋肉量の維持に留意した治療を構築しています。患者さんの生活スタイルを把握するために、多職種からなる糖尿病センターを構築し、チームとして診療を行っています。
内分泌疾患では、頻度の高い甲状腺疾患、副腎疾患とともに、下垂体疾患、性腺疾患など、より専門性の高い疾患にも対応しています。これらの疾患は急激なやせや疲労感などを契機に発見されることが多く、若年の方や妊娠中の方もおられますが、それぞれの方の生活スタイルに合わせた治療を行っています。また、がん治療に伴い、さまざまな内分泌疾患を併発する患者さんが近年増えています。適切にホルモン補充を行い、原疾患の治療を継続できるようサポートしています。
進歩が著しい肥満症治療においても、当部門のこれまでの肥満症治療の実績を活かし、肥満症治療チームとして診療に取り組んでいます。特に腸管ホルモン製剤が肥満症治療において脚光を集めていますが、当部門では「肥満症治療薬外来」を開設し、体重減量が肥満症の治療にどのようにつながっているのか、適切な体組成が維持できているのかを評価しながら、患者さんの生活の質の向上に資する治療を行っています。
このように、糖尿病・内分泌内科では、血糖やホルモンを個別に扱うのではなく包括的にとらえ、食事から得た栄養素が適切に身体に分配され、機能の向上につながる治療を、患者さんの生活スタイルを踏まえて提案しています。
Care Details
診療内容の詳細
糖尿病合併症の発症・進展阻止
糖尿病の治療の目標は、血糖、血圧、脂質の良好なコントロール状態と適正体重の維持を行うことで、網膜症、腎症、神経障害などの糖尿病細小血管障害や、虚血性心疾患、脳血管障害、末梢動脈疾患など動脈硬化性疾患の発症、進展を阻止し、健康な人と変わらない日常生活の質の維持、寿命を確保することにあります。私達は、循環器内科、腎臓内科、眼科など他の診療科とも密接に連携し、合併症の発症、進展阻止に取り組んでいます。
院内全体の血糖管理
周術期、周産期、ステロイド投与により血糖コントロールが悪化した他科の糖尿病の患者さんの血糖のコントロールを行い、病院全体としての糖尿病のコントロールの向上に取り組んでいます。
デバイスを活用した治療
24時間血糖測定できる機器や、インスリンポンプなど進化するデバイスを積極的に取り入れ、最新の糖尿病治療を提供しています。
高齢の糖尿病患者さんへの配慮
高齢の糖尿病の患者さんが増えてきています。高齢の糖尿病の患者さんには、筋肉量が減少するサルコペニアを予防するため、食事、運動療法、薬剤にも十分な配慮をし、シックデイの場合の対応などにも、注意深く診療しています。
チーム医療
糖尿病の治療は、医師、看護師、栄養士、薬剤師、健康科学療法士など多職種が一つのチームとなって患者のケアにあたることが重要です。私達は、病棟での多職種カンファレンスや、糖尿病性腎症透析予防外来などで、チーム医療を実践しています。
Endocrinology
内分泌疾患への対応
甲状腺疾患
甲状腺疾患に関しては、甲状腺中毒症や機能低下症の鑑別診断を行い、バセドウ病では、薬物療法の他に、アイソトープ治療も行っています。甲状腺クリーゼに対しても、循環器内科などと一緒に集学的な治療を行っています。甲状腺の腫瘍性病変に関しては、甲状腺超音波検査を行い、良性か悪性かの質的診断を行い、悪性の可能性が高い場合には、穿刺吸引細胞診を頭頸部外科に依頼します。眼窩のMRIなどを行い、バセドウ病眼症の診断、ステロイドパルス治療なども行っています。
副腎疾患
CT、MRIなどで偶然に副腎腫瘍がみつかるケースが増えてきています。私達は、Cushing症候群、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫など機能性副腎腫瘍の鑑別診断、治療法の決定などを腎泌尿器外科と一緒に行っています。原発性アルドステロン症の局在診断は、放射線科の協力のもと、副腎静脈サンプリングを行っています。
下垂体疾患
免疫チェックポイント阻害剤による免疫関連有害事象として、下垂体機能低下症の患者さんが増えています。私達は、各種下垂体機能検査などを行うことで、視床下部、下垂体疾患の診断を確定し、治療を行っています。