不整脈部門
当院では24時間循環器専門の医師が常駐している体制で診療にあたっており、心室細動や心室頻拍など重篤な不整脈や、頻脈性不整脈の持続による心不全、高度房室ブロックや危険な徐脈など多くの患者さんがほぼ毎日搬送されてきます。一方、外来で症状のない不整脈、軽い動悸の訴えや突発的に起こる上室性頻拍により生活の質(Quality of life)が低下し、かかりつけ医や近隣の医療施設から外来に紹介来院して頂き診療にあたっています。同じ不整脈でも症状や心機能によって治療方針が異なりその患者さんに応じたオーダーメイドの治療が重要になり、虚血性心疾患、弁膜症、心筋症、心不全の専門家や心臓血管外科とも密に連携しチーム医療を行える体制をとっており最善の治療に努めています。
当院は日本不整脈心電学会認定不整脈専門施設で、不整脈の診断、治療は高度な専門知識と技術を要する分野です。原疾患による不整脈併発の場合は、まず原疾患の治療を行い、不整脈に対する薬物治療、最先端の非薬物治療(カテーテルアブレーション、デバイス治療)を行っています。最近の不整脈治療は先端の医療機器や技術の進歩が目覚ましく、特にカテーテルアブレーションにおいては、最新の三次元マッピングシステムやエネルギー源を活用した精密な治療が可能で、いまだに進歩し、今までは難しかった不整脈が治療可能となってきております。最新・最善・安全・負担の少ない不整脈治療を患者さんに提供するよう尽力してまいります。
心房細動に対するカテーテルアブレーション
当院でのカテーテルアブレーションは、7~8割は心房細動で、特に心房細動に対するカテーテルアブレーションに注力しています。現在、心房細動はわが国で70万~100万人が罹患していると推定される不整脈です。高齢化に伴い増加し、脳梗塞のリスクや心不全のリスクが増大し、認知症の悪化や活動力の低下、予後(寿命)が悪くなるなどのデータがあります。高周波カテーテルアブレーションはすべての頻脈性不整脈に対して対応可能で万能な治療ではありますが、高度の技術が必要で主に実施していますが、心房細動の治療の基本である肺静脈隔離術に関して同等の効果が得られるクライオバルーンによる短時間での治療も行っています。また2025年には新しいエネルギーを用いたパルスフィールドアブレーションを用いた治療を実施しました。パルスフィールドアブレーションとは従来の熱を用いたアブレーションとは違い、短時間の周期(パルス)で高電場(パルスフィールド)を発生させることでこのパルスフィールドが細胞に作用を及ぼし、細胞膜に小さな穴をあけることにより細胞死を誘導する方法です。組織特異的な電場の閾値があるため、心臓周囲組織に影響を与えること少なく、ほぼ心筋特異的に焼灼をすることができ、従来の高周波カテーテルアブレーションと同等の効果で,手術時間が短縮されると報告されています。当院ではいずれの治療も可能で患者さんに合った治療、治療のために最善の技術を追求し提供してまいります。
デバイス治療への対応
また、不整脈診断に必要な植え込み型心電計、徐脈性不整脈に対するペースメーカー、負担の少ないリードレスペースメーカー、重症心室不整脈による突然死予防のために植え込み型除細動器(ICD)、皮下植込み型除細動器(S-ICD)、心不全グループとも連携し重症心不全に対する心室再同期療法(CRT)などのデバイス治療に対応しています。特に2024年9月に厚生労働省から製造販売承認を取得した心房と心室を生理的に同期させるデュアルチャンバリードレスペースメーカーも2025年3月から実施しており、豊富な臨床経験を持つ専門医がいずれの治療においても新鋭・先端の機器を用いた治療を行い、より安全で効率の良い治療の提供を常に目指しています。
対応可能な主な不整脈・治療機器
当院で対応可能な主な不整脈、治療機器は以下の通りです。
- 発作性上室性頻拍、WPW症候群、心房細動、心房粗動、心房頻拍
- 心室性期外収縮、心室頻拍、心室細動
- 洞不全症候群、房室ブロック などほぼ全てに対応
- 植え込み型心電計
- 高周波アブレーションシステム
- クライオアブレーションシステム
- パルスフィールドアブレーションシステム
- ペースメーカー・リードレスペースメーカー
- 植え込み式除細動器・皮下植え込み式除細動器
- 両心室ペースメーカー など