患者さん一人ひとりに寄り添い、最先端の医療を安全に届ける

関西医科大学 内科学第二講座 主任教授 林田 健太郎
関西医科大学 内科学第二講座 主任教授 林田 健太郎

関西医科大学内科学第二講座は、1940年、当時一つであった内科学講座から分離独立して、その歩みを始めました。その後、1975年に消化器グループが分離独立したことにより、内科学第二講座は循環器と腎臓を専門領域とする講座となりました。さらに1982年には内分泌代謝領域が加わり、循環器・腎臓・内分泌代謝を診療領域とする現在の講座の基盤が築かれました。

この長い歴史の中で、当講座は、心臓、腎臓、内分泌代謝という、生命の維持と生活の質に深く関わる領域を一貫して担ってきました。循環器領域では虚血性心疾患、弁膜症、不整脈、心不全などを、腎臓領域では慢性腎炎、ネフローゼ症候群、慢性腎臓病、急性腎障害などを、内分泌代謝領域では糖尿病、甲状腺疾患、下垂体・副腎疾患をはじめとする幅広い疾患を対象としています。

近年、これらの病気は、それぞれ別々の臓器の病気としてではなく、互いに密接に関わり合うものとして捉えられるようになっています。心不全は腎機能の低下と深く関係し、慢性腎臓病は心血管病の重要なリスクとなります。また、糖尿病、肥満、高血圧、脂質異常症などの代謝異常は、心臓病や腎臓病の発症・進行に大きく影響します。私たちは、このような「心腎代謝連関」を重視し、一つの臓器だけではなく、患者さんの全身を診る医療を大切にしています。

私はこれまで、心臓カテーテル治療、とくに大動脈弁狭窄症に対するTAVI、僧帽弁・三尖弁疾患などの心構造疾患に対する低侵襲カテーテル治療に取り組んできました。また、アジア人初のTAVI指導医として、国内外におけるTAVIの普及と安全な導入に携わってまいりました。高齢化が進む中で、弁膜症や心不全を抱える患者さんは増加しており、身体への負担を抑えた低侵襲な治療を届けることが重要になっています。一方で、最先端の治療であるほど、正確な診断、適切な治療選択、高度な技術、そして安全なチーム体制の確立が欠かせません。

そのため当講座では、循環器内科、腎臓内科、糖尿病・内分泌内科が密接に連携することに加え、他診療科やメディカルスタッフとともに、多職種によるチーム医療を重視しています。患者さんとご家族に十分に説明し、納得していただいたうえで、一人ひとりに最も適した治療方針を一緒に考えていくことを大切にしています。

また、大学病院の講座として、日々の診療に加え、未来の医療をつくる研究と人材育成にも力を注いでいます。臨床研究、基礎研究、治験を通じて、新しい診断法や治療法の開発に取り組み、関西から日本へ、そして世界へ向けて医学的知見を発信していきます。同時に、循環器、腎臓、内分泌・代謝疾患の各専門分野において、高度な専門性と内科医としての幅広い視野を兼ね備えた医師を育成し、地域医療と高度先進医療の双方に貢献してまいります。

病気は、検査値や画像所見だけで語れるものではありません。患者さんの価値観、生活背景、ご家族、仕事、将来への思いなど、さまざまな要素と結びついています。私たちは、最先端の医療技術と、人に寄り添う温かい医療の両方を大切にしながら、患者さんがその人らしい生活を取り戻せるよう全力を尽くしてまいります。

関西医科大学内科学第二講座は、これまで築かれてきた伝統を受け継ぎながら、循環器、腎臓、糖尿病・内分泌代謝の力を結集し、地域の皆さまに信頼される医療、そして世界に発信できる医療を実践してまいります。